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11月19日は、世界遺産で国指定の特別名勝でもある「識名園」にて11月定例会が行われました。ここ識名園は、琉球王家最大の別邸で国王一家の保養や冊封使の接待などに使われていました。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
この日は、今年の首里城でも案内をしてくださった郷土史研究家の古塚達朗先生に講師をお願いしました。参加者は9名です。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
まずは、道路沿いにある入口へと向います。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
ここで、識名園の「園」という字が碑と門で違うことの説明を受けます。これは、一つの行に同じ言葉が出てきたときに同じ字を使わないという書のルールがあり、碑から門までの道が一行とみなされるためにこのようになっているとのことです。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
ここは、「ヤージョウ」とも呼ばれる正門で、国王一家や冊封使の出入りに使われていたそうです。現在では、国賓級の来客があったときに開けられ、秋篠宮様やゴルバチョフ元ロシア大統領が訪問されたときにも開けられたとのこと。また、近隣の真地小学校の十三祝いの際にも特別に開けられるのだそうです。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
まるで森の中に迷い込んだような景色です。この道が直線でないのは、まっすぐにしか進めないヤナムン(妖怪)マジムン(悪霊)から守るためであり、広く見せるための工夫でもあるそうです。また、道の両側には水が浸透しやすい工夫がなされていることの説明がありました。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
ここは、池の水源にもなっている「育徳泉」です。あいかた積みで曲線が美しい姿を見せてくれます。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
ここには天然記念物である「シマチスジノリ」(淡水に生息する藻類で、血管(血筋)に似た形であることからそう呼ばれているとのこと。)が生息していることで知られています。実はこのシマチスジノリが昭和50年代の渇水時に絶滅したのではないかと囁かれたそうです。しかしその後、シマチスジノリが復活していることが判明したのですが、その理由は不明なのだそうです。どうやら、シマチスジノリには自らの生育環境が厳しくなると胞子のままでいることがあるようで、環境が改善されたために復活したのではないかとのお話がありました。このシマチスジノリは浅草海苔に近い味で大変おいしいらしいとのことです。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
ここからは「御殿(うどぅん)」の見学です。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
この一番の上の棒が曲がっているのは、完璧なものを造ると災いが起きるという考えからあえて歪んだものが使われているとのこと。日光東照宮も8本の柱のうち1本が逆柱になっていることと理由は同じなのだそうです。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
この窓枠は、当時の国王・王妃などの平均身長に合わせて造られているのだとか。私(渡邉)の身長(165cm)の目線ではこんな感じですが、
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
当時の平均身長といわれる150cm前後での目線だとこんな感じになります。なるほど、素敵な風景です。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
御殿から橋を渡って御殿方向を眺めます。石橋や右側に六角堂を望む美しい景色です。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
「勧耕台」から、沖縄本島南部を望みます。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
御殿の裏側に戻ってきました。識名園の修復にも携わってこられた古塚先生は、この塀の高さに疑問を呈されました。それは、自分の目線と相手の目線が合わないということが重要であるので、当時の平均身長である150cm程度の目線を隠すために、もっと高くする必要があったのではないか、ということです。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」

またこちらの石積みも、古くから残る左側と復元された右側では石積みの形が異なってしまい違和感があることをとても残念がっていらっしゃいました。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
こうして約2時間にわたる勉強会は終了となるのですが、その前に一つ、この「識名園」という字はシルクロードの絵画などで知られる平山郁夫さんの書であり、それにまつわるエピソードなども披露されました。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
最後に、参加者全員で記念撮影を行いました。
11月定例会~「琉球王朝と水(育徳泉とお庭をめぐる)」
外には有名な猫の姿もありました。
識名園は、森のような風景から突然視界が開けて池が現れ、また山の中のような風景になる目の錯覚を利用していて、緻密に計算された手の混んだものであると感じました。古塚先生の言葉にもありましたが、建築や動植物、地質、更には琉球の歴史まで幅広い知識があれば、庭園の散策はもっと楽しめるようになると思います。また、これは余談ですが、私(渡邉)の知人でトンボ博士でもあるYさんに聞いたところ、識名園でしか見かけない生物がいるとのこと。それだけ、生き物たちにとってもすばらしい環境が残っているのだと言えると思います。

最後に、今回も講師を引き受けてくださった古塚達朗先生に心より御礼申し上げます。先生は、寒い時期の識名園で夜話会を開催したいとのお考えがあるとのことで、こちらの実現もぜひ楽しみにしたいと思います。併せて、諸般の事情により更新が遅くなったことをお詫びします。
(縦に撮影した写真が縦に取り込めなくなってしまいました。どなたか対処方法をご存じの方はお知らせください。)










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