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中村 哲 氏 講演会

2017年09月30日

Posted by 湧き水fun倶楽部 at 14:04 │Comments( 0 ) 講演会
先般、ペシャワール会の中村哲氏の講演会が開催され、当倶楽部の金城義信さんが参加されましたので、そのレポートをご紹介します。

中村 哲 氏 講演会

中村 哲 氏 講演会
テーマ・「井戸を掘る医師・アフガニスタンの命の水」
年月日・平成29年9月10日(日) 14:00~15:30
場 所・浦添市てだこ大ホール
主 催・沖縄県女性の翼の会 (共催・浦添市ほか多数)

1.中村哲氏の紹介

①福岡県出身、1946年生まれ、医師で「医療NGOペシャワール会」現地代表
PMS = Peace (Japan) Medical Service、Director(日本医療サービス総院長)
②1984年、パキスタンのペシャワールに赴任して医療活動をはじめ、その後国境を越えてアフガニスタンも含めて、戦禍にあえぐアフガニスタン、パキスタンの人々を救う医療活動を続けて今年で約33年になる。
③中村氏は、さらに大干ばつ対策として、アフガニスタン北東部において1,500本の井戸を掘り、13kmにわたる用水路の掘削工事を完成させた。水源開発事業、農産物の育成指導に献身的に取り組む。すべて日本の技術を使って人海戦術で工事を行った。
④2002年、第1回沖縄平和賞受賞、その他多くの受賞歴あり。旭日双光章受賞(2016年)

2.講演の主な概要

①講演は、パワーポイントを使ってアフガニスタンの概要や特徴を紹介した後、自分のことを「私は医師ですけど、普段はブルドーザーに乗っています」とユーモアを交えて話された気さくな人柄に好感を持ちました。

②アフガニスタンの概要と特徴について、位置は中央アジアと西アジア、南アジアを結ぶ地域で昔から民族の十字路と呼ばれていた。人口は約2,000万人、面積は日本の約1.7倍、国土の大部分が高い山脈(最高7,708m)に覆われている。年間降雨量は僅か約200mm。
民族は、1つの国家でなく多民族国家で、90%以上が農民と遊牧民。貧富の差が大きい。
宗教は「イスラム教」で世界でも最も古いイスラム社会と言われている。(宗教共同体)

③医者は病気を治すことは出来るが、水が無ければ人は生きていけない。2010年には、さらに総延長25kmの用水路を完成させ10万人の農民が暮らせる農地基盤を整備した。

④中村氏が、パキスタンやアフガニスタンに行くきっかけは「蝶など昆虫採集と登山が好きで」パキスタン登山隊の医師として参加したのが現在につながっている。

⑤パキスタンの戦禍の中で、人が目の前で死んでいくのを見て逃げられない、と覚悟して不屈の精神で現地において医療活動(難民救援活動)をすることになった。

⑥現地の女性は顔を隠してあり、写真も撮ることが出来ない。女性たちの日頃の生活は遠方からの水くみ作業が主で重労働であったが、井戸や用水路の完成で喜びに変わった。

⑦国際貢献をするための治安維持の秘訣は「住民との信頼関係の構築」が第一である。
治安維持部隊が入ってきてから、むしろ治安が悪くなったケースもある。

⑧沖縄の辺野古基地問題について、日米両政府はもういい加減にしてもらいたい。
複雑な面があると思うが、争いごとはやめてほしい。アフガニスタンでもテロが起こっているが武力では解決できない。

⑨今後とも命がある限りアフガニスタンで活躍していきたい。地域から全国展開を目指して引き続き現地の人材育成と後継者の養成をしていきたい。

3.私の感想

中村氏は、アガニスタンで医療活動をする中で「干ばつで苦しむ多くの人々を救うことが出来ず無力感に悩んだこと」。また、この国に必要なものは「清潔な水と食料」だと実感して用水路を建設し農業基盤の整備に取り組んでいること、が強く印象に残っています。
中村氏の温和な語り口の中に今後ともアフガニスタンに生き国際貢献に命を懸けるという強い信念には感動しました。また、今もなお多くの日本人が現地アフガニスタンで頑張っていることに敬意を表します。
中村 哲 氏 講演会
今回の講演を通して、「命と平和の尊さ」「国際貢献の重要性」を実感することができました。一方、沖縄県として、また個人として中村氏の今後の国際貢献活動にどのような形で支援、協力ができるのかを考えさせられました。

備 考
1.会場は、約1,000人の参加者で満席の状況でした。特に、会場の最前列の席には浦添市内の中高校生100人が招待されていました。講演は手話つきで、舞台の左側の壁には講演の言葉が文字で表示されるなど分かりやすい配慮がされていました。
2.当日の配布資料の中に次のようなものがありました。
◎ペシャワール会報、No131、No132号、◎ ペシャワール会入会案内書
3.会場ロビーでは、ペシャワール会の活動状況パネル展示や中村氏の著書販売がありました。
中村 哲 氏 講演会
中村 哲 氏 講演会
4.心に残る中村氏の語録
◎「とにかく、生きておれ!  病気は後で治す」著書「医者井戸を掘る」より
◎ 私たちに確乎とした援助哲学はあるわけではないが、唯一の譲れぬ一線は、「現地人の人々の立場に立ち、現地の文化や価値観を尊重し、現地のためにはたらく」ことである。
著書「医者、用水路を拓く」より




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