10月21日は、湧き水fun倶楽部10月定例会が行われ、6名の方の参加がありました。
今月は「浦添市のトンボについて」というテーマで、日本トンボ学会・沖縄昆虫同好会会員である焼田理一郎さんを講師にお招きし、浦添市立図書館脇から安波茶樋川までの約400mの水路を散策しました。なお、この散策会は、浦添市の「自主企画まなび助成制度」を活用して開催されたものです。
(画像はgoogle mapより)
日本全国で見られるトンボはおよそ200種類でそのうち沖縄ではおよそ90種類のトンボが見られるそうで、その中には特定の島でしか見られない種類もいるのだそうです。
散策開始後、水路をのぞき込むと、
ベニトンボ、オオシオカラトンボ、タイリクショウジョウトンボなど、多くのトンボが見られ、「同じところに長く止まっているのはオスで縄張りを主張している」「水面を跳ねるように飛んでいるのはメスで産卵中」など、生態についてのお話がありました。
捜索でもしているかのごとく真剣に水路をのぞき込む皆さん。
水路を数十mほど奥へ行くと、先ほどまで乱舞していたトンボの姿が消えました。その理由を焼田さんに尋ねると、「日当たりが悪いからだろう」とのこと。確かに、右側は鬱蒼とした林になっています。
トンボと一口に言っても、川のように流れている水を好む種や、池のように流れていない水を好む種など生態も様々であり、おそらく幼虫(ヤゴ)の酸素要求量が違うのではないかとのことでした。
散策の途中では、近くにお住まいの方とお話をする機会があり、「この辺りは蚊も多いので蚊を捕食するトンボはそれなりにいるが数は減ってしまった」ことや「水路の水質が悪くなり、樋川の湧出量も減ってしまった」ことなどのお話を聞くことができました。
折り返し点の安波茶樋川では、アカナガイトトンボを見つけることができました。
このトンボを焼田さんが浦添で見つけたのは今回が初めてとのことでした。
そして、帰り道では、オスメスを捕獲し、胸のあたりに突起物があるのがオスであるとの説明がありました。焼田さんの巧みな網さばきに一同感心することしきり。(これらのトンボは、ちゃんと放しましたのでご安心ください。)
今回の散策で確認できたのは私のメモでは、先に述べた4種類のほかに、リュウキュウベニイトトンボ、ハラボソトンボ、ウスバキトンボ、ギンヤンマ、の計8種類でした。
出発点まで戻り、2時間弱の散策が終了しました。朝方まで雨との予報でしたが、幸い雨の影響もなく、少し涼しかったので楽に歩けたのではないかと思います。浦添市役所の近くという市内中心部にもかかわらず、これほど多くのトンボが見られたことは新鮮な感覚でとても有意義な時間でした。今回、私たちのために休日の貴重な時間を割いてくださった焼田さんに心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
この日見られたトンボはこちら(写真は焼田さん作成の資料より)。
ウスバキトンボ
オオシオカラトンボ
ギンヤンマ
タイリクショウジョウトンボ
ハラボソトンボ
ベニトンボ
リュウキュウベニイトトンボ
+アカナガイトトンボ
焼田さんの共著の書籍はこちらです。
「沖縄のトンボ図鑑」(いかだ社から発刊)